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2018.03.05日文研の話題 [木曜セミナー・リポート]噂のニュースと学術的視点のマリアージュ (2018年2月22日)

 2月22日、新任の吉江弘和助教を講師に、定例の木曜セミナーが開催されました。「森友学園と教育勅語―「戦前教育への回帰」という戦後史」という少しドキリとする論題から、何かと世間を騒がせているあの問題にどのように切り込むのか、興味津々で参加しました。
 おそらく同じような関心からか、今回は外部からの参加者が比較的多かったように思われます。
 発表内容はというと、そんなミーハーな視線をスルリとかわし、いたって学問的なもので、ご自身の博士論文の主題をベースに、戦前から連合国軍による占領期、そして戦後まで、日本の学校教育史における「教育勅語」と「御真影」の価値や意味づけの変遷流転の軌跡について、わかりやすく解説してくれました。
 おもしろかったのは、今日のニュースを振り返り、「なぜ教育勅語なのだろう?」と発せられた素朴な疑問。くだんの学園問題を取り上げる際にマスコミが「教育勅語」だけを話題にし、理事長室の壁に複数飾られていた「御真影」にまったく頓着しなかったのはなぜか。そこに、「教育勅語」と「御真影」が戦後にたどった軌跡の違いが現れているというのです。吉江助教はそれを、「周縁化する御真影」(「御真影」はいつしか、思い出話の一つとなる)と、「政治化する教育勅語」(「教育勅語」を通して戦前を語る)という二つのキーワードでまとめました。
 それに加えて、コメンテーターのネイスン・ホプソン名古屋大学准教授は、マスコミが「教育勅語」に注目したのは、園児に暗唱させていた「身体性」の問題も大きいと指摘し、その後の議論に深みを与えていました。
 
(文・白石恵理 総合情報発信室 助教)